ダイヤモンドの記事が残念すぎる件



ダイヤモンドの記事でちょっとガッカリしたので書きます。廉 宗淳さん(イーコーポレーションドットジェーピー株式会社代表取締役社長)による記事です。
改札を機械化する日本、改札をなくす韓国――情報化の本質とは何か

文章は、改札のない韓国版新幹線KTXの話題から、日本国内線の飛行機の遅延時の対応、電子行政の話へつながるわけですが、記事の半分を占める韓国版新幹線KTXの話題が残念すぎました。””は記事の記述です。

筆者は、車掌から”車掌が手元にあるハンディターミナルを見”て、駅間で改札をすれば、不正はある程度防げ、自動改札や駅の人員の配置は”コストの無駄”と説明を受け、”非常に合理的”と評します。改札のない鉄道は世界的にみれば珍しくも何ともなく、列車の本数が少ない場合は多く用いられています。それに伴って車内改札を徹底させるか、罰則的な追加料金を設定するかなどの措置をとっています。

筆者は、新幹線同士の比較として、改札の有る無しを書いていますが、日本において今現在でKTX運用をしているのは、新幹線ではなく、地方在来線の特急のほうがより近いと思います。実際、無人駅から特急に乗り、車内改札のみという列車は多くあります。これはKTX同様、機械のコスト、不正乗車への対応、その他を考えて、同じ結論に達した結果だと思います。また、新幹線でもJR東日本関内では、ハンディーターミナルによる運用をすでに実現しています。(指定席車内改札無し)

逆に、現在の日本における新幹線は、東海道新幹線においては1時間に最大16本(4分弱に1本)、上下線で倍、1列車あたり16両で約1300人という人数を取り扱います。対してKTXは10~15分に1本、乗車定員も1000人ほどです。日本の新幹線でのこの人数を車内改札のみで対応するには、車掌の人数を増やす必要があります。また、ホームに送迎の人が入りやすくなるなど、安全上も問題があると思います。これらを改札という場所でいったんバッファーし、案内が必要な人には駅員が案内を、遅延の際にはホームへの立ち入りを制限し、車掌の業務の軽減を見事に果たしています。そして、過密な都市部にあって、ほとんどの新幹線駅はホームと改札を異なる階層に設置し、土地を効率よく利用しているとも言えます。

日本の鉄道ではほとんどの鉄道で改札がありましたが、新幹線開業時に、改札内改札ともいえる新幹線専用の改札を設置したました。当初の第一の目的はわかりませんが、後からの設置は非常に困難なシステムだと思います。また、現在では、IC乗車券の対応など、よく乗る人にとってはスムーズに、乗り慣れていない人には、案内所として立派に機能していると思います。

私は、悪意ある不正乗車については罰金的な料金も含めて支払うべきだと思います。しかし、間違えて乗車してしまった人は、料金を支払った上で、目的としない駅で降ろされてしまいます。これがもし改札で指摘されれば、そもそも起きえない事態です。さらにこのような場合には車掌に言われて「はい、そうですか」とすんなりいかないこともあると思いますので、車掌本来の業務である、安全確認などに影響が出る可能性があります。(このために人数を増やすのは本末転倒)もちろん、すべての間違い乗車を防げるわけではありませんが、近距離の切符で新幹線に間違えて乗ってしまうという事態は避けられます。

ここで、疑問なのが、筆者がKTXの一乗務員に聞いた話のみでこの文章を書いているように感じる点です。少なくとも、日本の鉄道会社、特に新幹線を運営する会社に、「なぜ改札が必要なのか」と聞いたということもないようです。聞いておいて書かなかったのかもしれませんが、普段日本に住んでいると思われる筆者が、たまたま見た「海外の良さそうな仕組み」を見て、”合理的、”と判断するにはあまりにも短絡的な思考だと思いました。というか、似たような改札なしのシステムは日本にも存在するので、”手元にあるハンディターミナル”だけを見て情報化というなら噴飯モノです。もしかしたら、筆者は改札に関して過去にで苦い思い出があったのかもしれませんが、”そもそも機械を設置しない”というメリットのみを強調しています。

この筆者が「改札がない」=「不正があるのではないか」という疑問だけを持ち、それさえ別の方法で防げるのであれば、改札はいらないと考え、改札の持つその他の利点を全く考えない一方的な思考を感じます。

2つめの飛行機遅延で電車がなくなり、タクシーしかないことに際し、”乗客の誰も文句を言っていない”ことについてです。おそらくこの対応は約款に則ったものであり、日本の乗客は職員が約款通りに仕事をしているという信頼から文句を言わないのだと思います。多少、言っても無駄だというあきらめもあると思いますが、この約款を乗客が知っているかどうかでは無く、職員がサボっているわけでは無さそうだという信頼が文句を言わない理由だと思います。状況によっては、バスやホテルを用意してくれる場合もあると聞きます。これこそ、約款を超えた無料サービスなのですから、「文句」ではなく「交渉」をすることが大事だと思います。

それよりも、筆者はそのような対応を、トラブルすべてに対して行えるようにするためには最終的には利用者のコスト負担になるということを、知っているはずなのに書かないのは残念です。鉄道会社の機械の設置のコストは指摘しながら、こちらのコストは無視して文句を言ったら何とかなるというのは筋が通りません。

筆者は、”市行政の情報化について、青森市の職員としてアドバイスを行う情報政策調整監の役職にあるため、頻繁に青森を訪れます。”とわざわざ書いていますが、青森市の職員のみなさま、この方のアドバイスをどのように受け止めていますか?おそらく最近の東北地方の在来線には乗ったことが無いような人だと思いますよ。情報化以前に地域の現状理解は薄いと思われます。”私が情報化の本質について、非常に考えさせられたできごとについてご紹介しましょう。”といって展開された話題がこのKTXの話ですよ。

ちなみに、私自身は鉄道会社や航空会社の関係者ではありません。また、IT関係の職種でもありません。


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